孫崎享『戦後史の正体』創元社、2012年 [読んだ本]
例えば、高等学校の日本史の教科書には次のような記述があります。「…敗戦国ドイツが…直接軍政のもとにおかれたのに対し、日本の場合は…連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)の指令・勧告にもとづいて日本政府が政治をおこなう間接統治の方法がとられた…」(山川出版社『改訂版詳説日本史B』)
降伏後の占領下において「間接統治」がおこなわれた点についての記述です。しかし、なぜ日本ではドイツのように連合国の直接軍政が敷かれずに「間接統治」されることになったのか、ということはよくわかりません(もちろん間接統治においてもアメリカに政策の決定権があったのは言うまでもありませんが…)。
この原因の一つが『戦後史の正体』で明らかにされています。実は1945年9月2日に降伏文書に日本が署名した直後に、日本を直接軍政の下におくための布告が出されていたのです。そしてこの布告をマッカーサーに対して撤回させるというたいへんな交渉を行ってこれを成功させた勇気ある人達がいました。この人達は「アメリカの意向に抵抗した」人物として記述されています。詳しくは本書を読んで下さい。
このように『戦後史の正体』は戦後の歴史を「アメリカの圧力」に従ったのか、それとも抵抗したのかという視点で戦後史の謎を解き明かした書です。
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