ホテル、ニューグランド（横浜市中区山下町）

　みなとみらい線元町・中華街駅を降りて氷川丸を目指して山下公園に向かうと、公園に隣接して「ホテル、ニューグランド」があります（2023年11月12日、iPhoneSEで撮影）。写真は正面玄関で、入るとすぐに階段があり広い二階ロビーに続いています。
　多くの外国人客を受け入れてきたグランドホテル（明治6年〜）などの宿泊施設が関東大震災で倒壊したため、それらの代わりに外国人客を受け入れるために1927（昭和2）年に建てられた西洋建築です。
　設計者は渡辺仁（1887〜1973年）で、日比谷の第一生命ビルや銀座の和光ビルを設計した人物です。初めは鉄筋4階建てでしたが、後にアメリカ人設計者によって5階建てに増築されています。
　ホテル、ニューグランドに宿泊した有名人では、マッカーサー、チャップリン、ベーブ・ルース、大佛次郎などがいます。1945（昭和20）年、マッカーサーの宿泊した部屋は3階の315号室で「マッカーサーズスイート」と呼ばれ、宿泊も可能です。大佛次郎はこのホテルで『鞍馬天狗』などの作品を執筆しました。
　マリンタワー側から見ると壁面に竣工した年である「AD1927」が刻まれています。建物は上に行くほど規模が小さくなる設計で、このホテルの大きな特徴となっています。

■参考図書・資料

『神奈川県の歴史散歩（上）川崎・横浜・北相模・三浦半島』神奈川県高等学校教科研究会社会科部会歴史分科会編、山川出版社、2005年
『写真集成　日本の近代化遺産1関東編』増田彰久、日本図書センター、2000年
『ぼくらの近代建築デラックス』万城目学・門井慶喜、文藝春秋、2012年
「ホテル・ニューグランド」公式ホームページ
「近代建築写真館」ホームページ

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